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    【初心者用🔰】【画家紹介🧑‍🎨】敬虔さと幻想の画家、バーン=ジョーンズ──装飾的な作品はまるで”少女漫画”のよう!?柔軟な文化人は立場を越える

    引用:エドワード・バーン=ジョーンズ - Wikipedia

    今回は、英国の画家エドワード・バーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones, 1833–1898)をご紹介します。

    彼の作品はまるで夢の断片をすくい取ったかのように静謐で美しく、ロマンチックな空気に満ちています。

    もし部屋に飾ったならば、しとやかでありながらも華やかな雰囲気をもたらすでしょう。

    この記事では、初心者の方のため、バーン=ジョーンズの基本的な情報をわかりやすくお伝えしつつ、代表作や他の画家との比較を用いて詳しく解説します。

    この記事を読んで、あなたもバーン=ジョーンズについて一緒に学びましょう!


    目次

    バーン=ジョーンズとは?──ラファエル前派に属しながらも柔軟な画家

    バーン=ジョーンズは19世紀のイギリスで活躍した画家兼デザイナーで、「ラファエル前派」と呼ばれる美術運動に影響を受けた芸術家です。(「ラファエル前派」については【こちら】でわかりやすく解説していますのでどうぞ)

    彼自身はラファエル前派の第2世代とも言われ、象徴主義的・中世主義的な作風で知られています。

    元々は聖職者を志望し大学に入学しましたが、同じ大学で友人となった詩人ウィリアム・モリスと出会い、芸術の道へ進むことになります。

    描き出す絵画の美しさに注目が集まってしまいますが、彼のそもそもの根底にあるのは敬虔な神学者だということです。

    師匠はラファエル前派の創設者兼中心人物であるダンテ・ゲイブリエル・ロセッティで、彼のもとで中世や神話に基づく幻想的な絵画の世界を磨いていきました。

    (ロセッティ代表作《プロセルピナ》↓)

    引用:Proserpine (Rossetti) – Wikipedia

    しかし一方で、数年のイタリア留学を経て、ルネサンス芸術も学び、影響を受けています。

    よって、バーン=ジョーンズは、ラファエル前派という、ラファエロより前の芸術作品に焦点を当てた派閥に所属しながらも、一方でルネサンス芸術からもエッセンスを学び取り、我が糧にしようとする、柔軟な学ぶ姿勢を持ち合わせていました。

    彼を簡潔に説明するなら、「前例に捉われず、立場が違えど良いものからは素直に吸収し自らの力にする文化人」といったところでしょうか。

    バーン=ジョーンズの作品は、絵画だけでなく、ステンドグラス、タペストリー、装丁など多岐にわたりました。


    魅力的な代表作たち──夢幻の世界に誘う名画たち

    バーン=ジョーンズの作品は、どれも絵画でありながら詩のような静けさと奥行きを湛えています。ここでは特に人気のある代表作をいくつかご紹介しましょう。

    《ピグマリオンとガラテア》(The Pygmalion and the Image Series, 1878–79)

    引用:Pygmalion and the Image series – Wikipedia
    引用:Pygmalion and the Image series – Wikipedia

    ギリシャ神話を題材にしたこの連作は、現実の女性に失望していたピグマリオンという王が、自らの作った像・ガラテアに恋をし、神の奇跡によって像に命が与えられるという物語を描いています。

    バーン=ジョーンズはこの愛と奇跡の物語を詩的かつ繊細な色彩と構図で表現し、神話の中の愛の力を美しく昇華しています。

    期待や希望の言葉を子どもにかけ続けると、その通りに子どもが育つという「ピグマリオン効果」の元となった話ですから、子育てにおける指針を持ちたい方におすすめの作品です。

    《黄金の階段》(The Golden Stairs, 1880)

    引用:The Golden Stairs – Wikipedia

    同じような服装の女性たちが、各々楽器を手に、静かに階段を下りていくこの作品には、物語性や説明的な要素は一切ありません。

    それでも見る者を惹きつけてやまないのは、構成の美しさと音楽的リズムによるものでしょう。

    まるで夢の中の一場面のような静けさが漂う、不思議ですが魅力的な作品です。

    《運命の車輪》(The Wheel of Fortune, 1875–1883)

    引用:The Wheel of Fortune (Burne-Jones) – Wikipedia

    車輪が画面を縦断するという斬新な構図が、発表当時反響を呼んだ一枚。

    画面右側に描かれているのは、王、奴隷、詩人という立場の異なる3人ですが、王冠を被っている王の頭上には、足枷である鎖がついている奴隷の足が乗せられています。

    運命の女神の前では、いかなる立場の者であっても容易に狂わされるという教訓に満ちた一枚です。


    《廃墟のなかの恋》(Love Among the Ruins, 1873)

    引用:Love Among the Ruins (poem) – Wikipedia

    とてもロマンチックな作品ですね。

    さびれた廃墟の中ですが、二人の表情からは幸福や満足感が感じられます。

    100年以上も前の作品ですが、だからこそ、何年経っても色褪せない愛を表現しているかのようで、素敵な作品です。

    他の画家との違い──写実を超えた詩的リアリズム

    バーン=ジョーンズを理解するうえで、他の画家との比較も興味深いポイントです。

    たとえば、同時代の印象派──モネやルノワールといった画家たちは「光と瞬間の印象」を描こうとしましたが、バーン=ジョーンズはむしろその逆。彼は時間を止め、静止した永遠の一瞬を描こうとしたのです。

    引用:印象・日の出 – Wikipedia

    また、同じくラファエル前派に属したジョン・エヴァレット・ミレイやウィリアム・ホルマン・ハントは細密な自然描写に力を入れていましたが、バーン=ジョーンズはより装飾的・理想化された人物像と構成を追求しました。

    引用:オフィーリア (絵画) – Wikipedia

    そのため、彼の作品には写実とは異なる「詩的リアリズム」が感じられるのです。

    彼の絵は単なるビジュアルではなく、まるで詩や音楽のように「雰囲気」や「感情」を静かに響かせる力を持っています。


    デザイナーとしても活動していたバーン=ジョーンズの作風は、同時代の他の画家のものと比べると装飾的であり、現代では「少女漫画的」と評されることもあるそうです。

    おわりに──夢見る時間を、あなたの空間に

    もし、あなたの部屋に一枚、バーン=ジョーンズの絵を飾るとしたら、それは単なるアートの導入にとどまらないことでしょう。

    彼の絵は、物語を持った静けさと、詩のような余韻を生活空間に吹き込んでくれるはずです。

    本文で紹介しました、《ピグマリオンとガラテア》や《黄金の階段》などは、クラシカルで上品なインテリアにもぴったり。

    作品のテーマもシンプルで合わせやすいので、静かな部屋に調和をもたらしてくれそうです。

    バーン=ジョーンズの作品は、喧騒から離れて静かに自分を見つめたいとき、心にふっと寄り添ってくれるような力があります。

    それは、あなたの生活にひとときの幻想と美を添えてくれるはずです。

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