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尊厳の奪還「ルネサンス」と腐敗への糾弾「宗教改革」との関係について、ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』の功績に集約して学ぶ

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こんにちは!皿(sara)です☺️

今回は歴史の出来事について学んでいきます!美術史を知る上で避けては通れない「ルネサンス」、そしてそこから続いた「宗教改革」についてです。この2つには密接な関係があるのです。

「ルネサンス」とはフランス語で「再生」「復興」を意味し、14世紀にイタリアから始まった運動で、ヨーロッパ中に広がりました。

私は学校で勉強したのをよく覚えています。中世貴族風の衣装を着た芸人さんの「ルネッサ〜ンス!🍷」も一世を風靡しましたね。(ヒグチカッター!)

「ルネサンス」の内容は、それまでキリスト教によって”異端・異教徒的”として弾圧されてきた「ギリシャ・ローマの文化、芸術、学問」を今一度復活させようというものです。そして、そんな旧来のキリスト教の在り方に疑問を持った勢力が、「ルネサンス」の勢いそのまま「宗教改革」へと繋がっていきます。

そんな美術史の域に留まらない、超重大歴史的出来事について一緒に学んでいきましょう!

目次

「ルネサンス」について

「ルネサンス」が起こったのは、14世紀から16世紀にかけてのことで、イタリアから始まりヨーロッパ全土にまで広がりました。

キリスト教は信仰に留まらず、文化や芸術などあらゆる分野においても封建的で強制的な側面もありました。キリストの生まれ年が紀元とされ現代も西暦が使用されていることからも、科学技術などなかった過去におけるその影響力は量り知れません。

当時の人々は信仰していたと同時に息苦しさも感じていたことでしょう。キリスト教以外は排除されてしまうので、制限された見方しかでき(許され)ませんでした。

しかし、徐々に商業活動が活発になり人々が自信をつけ始めました(ポルトガルのヴァスコ=ダ=ガマが希望峰経由でインドに到達したのもこの頃の1498年でした)。キリスト教においては神を崇めなければなりませんでしたが、それよりも人間個人の思想や理性の尊重、そして弾圧されてきた神話復興の動きが生まれたのです。

「宗教改革」について

「宗教改革」はルターによる「九五ヶ条の論題」という文書が1517年に教会に提出されたことが契機とされています。

それまでの時世では文字が読めない人が大半でしたから、キリスト教の原典である聖書をちゃんと読める人は教会内においても少数でした。しかし徐々に識字率が上がり、聖書を読める人が増えるにつれ、「あれ?これまで教会が言ってきたことっておかしくない?」という不信感が浸透していきました。

例えば、それまで当然とされてきた絵に描かれた神や聖人を敬う行為は、本来禁じられていること(偶像崇拝の禁止)です。日頃の行いが死後の運命を変えるとも書かれておらず、ましてや罪を金で解決できる「免罪符」など許されるはずがありません。

「ルネサンス」の頃より膨れ上がり始めたキリスト教への不信感、新たな価値観への到達や、過去蔑ろにされた神話の復興という希望。そしてルター他による改革派の具体的なアクションにより、「異を唱える」という意味の「プロテスタント」という大派閥が誕生しました。

「教会の教え=絶対」という過去千数百年の構図を打ち破り、自らの腐敗を認めさせた動きが「宗教改革」になります。

結果論ですが、キリスト教による多方面の弾圧は様々な影響を及ぼしました。
ガリレオの地動説が裁判にかけられ「異端」として有罪判決を受けた例にあるように、連綿と受け継がれてきた学問を「神に反する」という理由で排除してきたことは大罪と言えるでしょう。しかし一方で、大事に守られながら成熟した思想や芸術もあります。
この様子は、日本の鎖国に似ています。諸外国に遅れをとったとマイナスの面を上げることもできますし、一方で鎖国のおかげで失われずに済んだ文化も間違いなくあります。
新しいプロテスタントが良い、古いカトリックが悪いではなく、そこから自分は何を学べ、何を思い、何ができるかが大事なのだと思います。

「ルネサンス」の代名詞的作品、『ヴィーナスの誕生』

引用:ヴィーナスの誕生 – Wikipedia

あなたは上の絵をご存知でしょうか。ボッティチェリ(1445−1510、イタリア)という画家による『ヴィーナスの誕生』(1483)という絵画で、中心にはギリシャ神話のヴィーナス(アフロディテ)が配置されています。

私の愛読書である井内舞子さん著『教養として知っておきたい名画BEST100』(2021年 永岡書店)では本作が、あらゆる世界的絵画の中で堂々の1位に選出されていることからも、絵画を知る上では欠かせない作品の1つとなっています。

なぜ井内さんは『ヴィーナスの誕生』を1位に選んだかというと、その歴史的背景、要するに「ルネサンス」を代表する作品だということを理由としています。

キリスト教の勢力下において、他宗教、他神話は異端として扱われていたことは先述のとおりです。そして、さらにタブーとされていたことこそ「裸体」。キリスト教において「裸体」は「堕落させるもの」として捉えられ、絵画など造形化されることは認められませんでした。

言うなれば、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』はそれまで常識とされていた二重のタブーを同時に打ち破った作品なのです。そして、ボッティチェリ自身の繊細さや華やかさ、選ばれたシーンの知名度(=人々への受け入れやすさ)など、あらゆる面において革命的な1枚となったのです。

まさに「ルネサンス」の代表を飾る絵画だと言えます。そして、ほか様々な芸術作品そして文化・学問に「ルネサンス」が伝播し増強され、同時にキリスト教の問題点を浮き彫りにし、「宗教改革」へと繋がっていきました。
『ヴィーナスの誕生』は歴史の転換点を担う作品であると言っても過言ではありません。

おわりに

以上で、「ルネサンスと宗教改革」そしてボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』の紹介を終わります。いかがでしたでしょうか。

美術史を学ぶ上で「識字率」というのは大事なキーワードです。本文中にはルターによる「九五ヶ条の論題」が1517年に出された背景には、識字率の向上があったと紹介しました。しかし一般に文字の読み書きができるようになったのは(諸説ありますが)産業革命(18世紀)の頃とも言われますので、宗教改革の頃でも一般には聖書を読むという行為はまだまだ難しいものだったに違いありません。

そしてルネサンスの代名詞的作品、ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』。発表された当時は雷に打たれたような衝撃に違いありません。「え?え?いいの?大丈夫!??」みたいな。しかし本作があったからこそ、ルネサンスに勢いがつき、花開いていきました。歴史を動かした超大作です。そして腐敗していたキリスト教内部に致命的なるも必然だったメスを切り込んだ「宗教改革」へとつながっていったのですね。

絵画を知ると、歴史も同時に学べることがとても面白いですね!いずれは「宗教革命」を主題とした絵画の紹介もしてみたいと思います!

それでは、この辺で。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!

参考文献:井内舞子『教養として知っておきたい名画BEST100』(2021年 永岡書店)/ 佐藤晃子『名画のすごさが見える西洋絵画の鑑賞辞典』(2020年 永岡書店)/ 池上英洋『西洋美術史入門』(2012年 ちくまプリマー新書)

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