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理由はたった2つ!なぜゴッホの「ひまわり」は有名か?

引用:ひまわり(絵画) - Wikipedia
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こんにちは!皿(sara)です☺️

今回は「なぜゴッホのひまわりは有名か」を、他の絵画も用いながらわかりやすく説明します。絵画には様々な場面や風景、被写体が描かれます。神話のワンシーン、偉人、壮大な景色、ピカソのはちゃめちゃな絵等々…

それらと比較するとゴッホの「ひまわり」は、一見なんでもないような、ただの花瓶に生けられたひまわりの絵に見えなくもありません。「なんでこんなに有名な絵なの?」と疑問ではないでしょうか。

実は、ゴッホの「ひまわり」が有名な理由はたったの2つだけ!これさえ覚えておけば、あなたも「なぜひまわりの絵がこれほどまでに有名なのか」を説明できるようになりますよ!

色彩で感情を表現した先駆者だったから

ゴッホという画家の何がすごいのかと、何よりも優先して理由を挙げるとしたら、「色彩で感情を表現した先駆者だったから」ということです。ゴッホは「印象派第二世代」「ポスト印象派」などと呼ばれています。

「印象派」とは、画家のモネが描いた「印象・日の出」という絵画から名付けられた、画法の派閥とでも言いましょうか。

引用:印象・日の出 – Wikipedia

この絵のように、見える風景をありのまま精緻に描くのではなく、刻々と移り変わる情景、一定の時間さえもキャンバスに捉え、その”印象”を描いています。この頃、というよりももっと前から、風景をありのままに描写する絵画はあったので、このような”印象的な絵”は「描きかけの絵に劣る」と評され、当初は受け入れられませんでした。

しかし、モネをはじめとした「印象派」の画家たちは「”印象”こそ旧来の画法を打ち破る!」とし、印象的な絵を発展させていきました。そして、その発展に大きく寄与した人物こそ、ゴッホだったのです。

下の2つの絵も、ゴッホの有名な作品です。

引用:星月夜 – Wikipedia

引用:夜のカフェテラス – Wikipedia

これらの絵からも分かるとおり、型に嵌まらない独創的な描き方はまさに「印象的」と言えるでしょう。しかしここで、ゴッホが他の印象派の画家を抜きん出た理由こそ、「色彩に感情を乗せた」という点。〈星月夜〉の夜空に描かれた白色からは、夜の澄みきった空気から感じられる清々しさを映し出しているかのよう。〈夜のカフェテラス〉の電灯の黄色からは、街の人々の賑やかさをも反映したかのような明るさが伝わってきます。そう、主観的な感情を色で表現したことこそ、ゴッホが切り拓いた絵画の新しい可能性だったのです。

しかし、この理由だけでは「ひまわり」と他の絵画との差別化にはなりません。なぜ、「ひまわり」がゴッホの代表たりえるのか。その理由こそ、次の項目によるものです。

”激情の”晩年のストーリーが付随する作品だから

ゴッホは「炎の画家」とも呼ばれており、常に燃えるような感情を抱いていた人物とされています。逝去は1890年、37歳と若く、しかも自殺だったのです。

そんなゴッホは亡くなる2年前の1888年に、修道僧が修道院で暮らすが如く、「黄色い家」という住まいを設け、そこで共同生活を送る画家を募りました。しかし、その呼びかけに応じたのはゴーギャンという画家ただ一人でした。

それでもゴッホは喜び、感謝や友情を表現するため、「黄色い家」にひまわりの絵の連作を作成しました。ひまわりを描く際、主に用いられた色は勿論「黄色」。ゴッホの他の絵でも「黄色」は一際注目される色ですが、この時描かれた「ひまわり」にはそんな黄色が申し分なく使われています。

ひまわりは勿論静物画ではありますが、かといってゴッホの「ひまわり」は花をただそのまま精緻に描いているわけではないことが見て取れるかと思います。湾曲したタッチ、黄色を主としたひまわりの活き活きとした描写。その黄色に自らの湧き上がるポジティブな感情をこれでもかと投影した「ひまわり」に、ゴッホという画家の完成が見られます。

ゴーギャンと共同生活を開始したゴッホでしたが、個性の強い二人の画家は衝突。ゴッホはケンカの末、自らの耳たぶを切り落とすという「耳切り事件」を起こしてしまいます。ゴーギャンとの共同生活もたったの2か月で終わってしまいました。

その後、発作や幻覚にも悩まされていたゴッホは程なくして自殺してしまいます。その生き様はまさに”激情”と言えるでしょう。ゴッホの伝説と化したその生き様を語る上で、「黄色い家」でのストーリーが付随する「ひまわり」こそ、「ゴッホといえば『ひまわり』だよね」と世界中から言われるに至った要因なのです。

そして、次世代へ

モネから始まった「印象派」は、ゴッホによる「色彩に感情を乗せる」という技法確立を経て、フォーヴィスムという技法にまで到達します。フォーヴィスムの「フォーヴ」とはフランス語で「野獣」という意味で、「野生的な色使い」をする画家を指します。

例えば、マティスという画家の「赤い部屋」は、フォーヴィスムを代表する絵画の1つです↓

引用:赤のハーモニー – Wikipedia

もはや、現実にはあり得ない原色によって風景を描いていますが、この画法もゴッホなしには到達し得なかったこと。ゴッホ自らも絵画の新たな可能性を切り拓き、その発展があったからこそ次世代がまた新たな画法を確立していきました。

ゴッホという画家の、美術史における貢献、語り継がれる人間性。これらを代表する作品として「ひまわり」は、ここまでに揺るぎない名作となったのです。

おわりに

冒頭にも書きましたが、私も「ひまわり」がなぜこんなにも有名なのか、正直全くわかりませんでした。しかし学んで行くうち、「ひまわり」で用いられた画法がいかに前衛的であり、「黄色い家」にまつわるエピソードがこんなにもドラマティックで、何よりも「炎の画家」ゴッホという人間の感情が前面に投影されている絵画だと知り、見方・考え方が全く違うものになりました。

一見しただけではよくわからない絵画でも、画家やまつわるエピソードを学ぶうちに魅力を感じてくることも、絵画を学んでいて楽しい瞬間の1つです。

それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました☺️

参考文献:井内舞子『教養として知っておきたい名画BEST100』(2021年 永岡書店)/ 佐藤晃子『名画のすごさが見える西洋絵画の鑑賞辞典』(2020年 永岡書店)

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