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    【初心者用🔰】【用語解説📖】絵画について学ぶと必ず目にする「ラファエル前派」とは何か?わかりやすく、シンプルに解説!

    絵画作品について調べていたら、「ラファエル前派(Pre-Raphaelite)」という名前に出会ったことはありませんか?

    響きはなんだか高尚で難しそう……でも、実はこの美術運動、とても情熱的でロマンチックな魅力にあふれています。

    この記事では、絵画に詳しくない方にもわかるように、ラファエル前派とは何かをやさしくご紹介します。


    目次

    そもそも「ラファエル前派」ってどういう意味?

    「ラファエル前派」(または「ラファエロ前派」)とは、19世紀のイギリスで生まれた芸術家のグループのことです。

    1848年、ロンドンで若い画家(ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやジョン・エヴァレット・ミレイなどが有名)や詩人たちが集まり、「ラファエル前派兄弟団(Pre-Raphaelite Brotherhood)」という団体を作りました。

    名前の由来は、ルネサンスの巨匠「ラファエロ・サンティ(Raphael)」にあります。

    ラファエロはルネサンス絵画の完成形とも言われるほど偉大な画家ですが、ラファエル前派のメンバーは「ラファエロ以降の絵画は型にはまりすぎていてつまらない!」と考えました。

    それまでの絵画界では、ラファエロこそが全ての画家が目指すべき究極形という常識・価値観であり、画家たちはラファエロに倣うことを当然のこととされていました。

    つまり、「ラファエロより前の時代の、もっと素朴で純粋な表現を目指そう!」というのが彼らの目標だったのです。


    どんな絵を描いていたの?

    ラファエル前派の特徴は、次のような要素に表れています。

    • [細部までこだわったリアルな描写]髪の毛一本、草の葉一枚にいたるまで、非常に細かく丁寧に描かれています。まるで写真のような写実性が魅力です。
    • [明るく澄んだ色使い]当時の絵画は暗めの色合いが主流でしたが、ラファエル前派は透明感のある明るい色を多用し、絵がとても鮮やかです。
    • [中世や神話、詩などを題材に]物語性の強いテーマが多く、詩や伝説、聖書のエピソードなどをもとにしたロマンチックな作品が多いです。

    有名なラファエル前派の画家と作品

    ここでは、代表的なラファエル前派の画家と、その作品を3つご紹介します。

    ジョン・エヴァレット・ミレー《オフィーリア》

    引用:オフィーリア (絵画) – Wikipedia

    シェイクスピアの『ハムレット』に登場する女性オフィーリアが、川に沈んでいく場面を描いた名作。

    草花や水面の描写がとても繊細で美しく、ラファエル前派の精神をよく表しています。

    ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《プロセルピナ》

    引用:Proserpine (Rossetti) – Wikipedia

    ギリシャ神話の女神プロセルピナ(ペルセポネ)が、冥界で過ごす運命に苦悩する姿を描いた作品。【こちら】の記事では、《プロセルピナ》のような男を惑わす運命の女性、「ファム・ファタル」について紹介していますので、ご興味があればぜひ)

    ロセッティは詩人でもあり、絵と詩の融合を目指しました。

    エドワード・バーン=ジョーンズ《黄金の階段》

    引用:The Golden Stairs – Wikipedia

    「ラファエル前派第二世代」とも呼ばれるバーン=ジョーンズの作品。

    勢いが落ちていた「ラファエル前派」のロセッティから学び、その意思を継承しました。

    幻想的で夢のような世界観が特徴的な作品。現実とは思えない静謐で神秘的な美しさがあり、観る者を非日常へと誘います。


    ラファエル前派の魅力とは?

    絵画をあまり知らない方でも、ラファエル前派の作品は「なんとなく惹かれる」と感じることが多いのではないでしょうか?それにはいくつか理由があります。

    • [物語があるから感情移入しやすい]ただの肖像画ではなく、恋愛、別れ、死、生まれ変わりなど、人間のドラマを感じることができます。
    • [色彩が美しく、部屋に飾りたくなる]赤や緑、青など、鮮やかで透明感のある色彩は、現代のインテリアにも合います。
    • [中世風・幻想的な雰囲気]どこかファンタジーのような雰囲気があり、非日常の世界を感じさせてくれます。

    他の芸術運動とどう違う?

    ラファエル前派は、当時主流だった「アカデミズム絵画」(格式や伝統を重んじる絵画)に反発し、もっと個人の感情や自然の美しさを重視した点が新しかったのです。

    後にはアール・ヌーヴォーや象徴主義、さらには現代のファンタジーアートなどに影響を与えました。


    おわりに──ラファエル前派の絵を部屋に飾ってみませんか?

    芸術というと、敷居が高く感じるかもしれません。

    でもラファエル前派の作品は、私たちの心に寄り添ってくれる温かみがあります。

    悲しみ、恋、夢、自然……そんな感情を豊かに描き出してくれるのです。

    「ラファエル前派」の作品からは、ただ作品の美しさだけではなく、“古代芸術を尊重し現代に復興しようとする探究心”、”凝り固まった従来価値観への反発”をも内包する力強さもあります。

    今ではアートポスターや複製画として手に入れやすい作品も多く、インテリアとして飾るだけで部屋がぐっと魅力的になります。

    あなたの暮らしにも、「ラファエル前派」の絵画を取り入れてみて、”芸術の香り”を加えてみませんか?

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